【トラック】事故速報の書き方はどうしたらいい?

運行管理者の講習で大きな事故が起きたとき、事故速報を送付する必要があることは耳にしたことはあるかと思いますが、いざ自社で大きな事故が起きると、事故速報の対象なのか、また、どのようにして書けばいいのか迷うかと思います。

 

そこで今回は、事故速報の内容と書き方についてまとめましたので、参考にしていただければと思います。

事故速報の対象は?

多くの人を巻き込むような重大な事故は、国も早急に把握し対応する必要になるので、情報を必要としています。

 

そのため、事故速報の制度があるのですが、すべての事故に対して連絡する必要はあります。ある一定の事故に該当(国土交通大臣の指示があったときを含む)した場合のみ、”事故速報”として国に知らせる必要があるのです。

 

その一定の事故とは…

1.一定数以上の死者又は重傷者がいる場合
2.10名以上の負傷者(重傷、軽傷を問わない)を生じた事故
3.積載した危険物等の飛散・漏洩事故を起こした場合
4.酒気帯び運転を伴う事故
5.運転者の疾病によるもの
6.その他

になります。

 

それでは、詳細を解説しますね。

 

1.一定数以上の死者又は重傷者がいる場合

一定数以上の死者又は重傷者が出た場合、事故速報の対象になります。

 

その一定数の条件とは…

 

条件@ 2名以上の死者が出た事故
条件A 5名以上の重傷者が出た事故

 

この条件@・A、いずれかに該当した場合、事故速報を国に出さなければいけないことになっています。

 

また、「重傷者」については、

 

@大腿又は下腿の骨折

A脊髄の骨折
B上腕又は前腕の骨折
C内臓破裂
D病院に入院することを要する障害で、医師の治療を要する期間が30日以上
E14日以上病院に入院することを要する障害

 

@〜Eが該当するのですが、とくにDとEについて、運送会社が”事故速報”だと気が付かないまま、放置してしまうケースが多いので注意しておきたいところです。

 

2.10名以上の負傷者(重傷、軽傷を問わない)を生じた事故

死傷者又は重傷者が複数出たときだけが速報対象ではありません。たとえ、死傷者又は重傷者がいなくても、10名以上の負傷者(重傷、軽傷を問わない)事故が発生した場合は速報しなければいけません。

 

ここで気を付けなければいけないのは、ケガの大小にかかわらず”負傷者”が10名以上いれば、事故速報をしなければいけないことになります。

 

 

3.積載した危険物等の飛散・漏洩事故を起こした場合

危険物などを運搬する運送会社もありますが、もしも、事故があって危険物に何かあれば、より多くの被害を招きかねません。

 

そのため、危険物については、別途、事故速報の条件が設けられているのですが、危険物を運搬しているトラックが事故を起こしたからといって、すべてが事故速報の対象になるわけではありません。

 

危険物等の飛散・漏洩事故で、かつ、@トラックが転覆・転落・火災を起こした、もしくは、A鉄道車両・自動車その他の物件と衝突・接触して発生したものに限り、国に連絡することになっているのです。

 

 

なお、報告しなければいけない危険物とは…

・消防法第2条第7項に規定する危険物
・火薬類取締法第2条第1項に規定する火薬類
・高圧ガス保安法第2条に規定する高圧ガス
・原子力基本法第3条第2号に規定する核燃料物質及びそれにより汚染された物
・放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律第2条第2項に規定する放射性同位元素及びそれにより汚染された物
・シアン化ナトリウム又は毒物及び劇物取締法施行令別表第2に掲げる毒物又は劇物、道路運送車両の保安基準第1条第1項第11号に規定する可燃物

 

これらに該当する場合を指します。

 

4.酒気帯び運転を伴う事故

ニュースなどで飲酒運転はよく取り上げられていますが、大型のトラックを運転しているトラック運送会社の酒気帯び運転はあってはならないですよね。

 

もしも、酒気帯び運転を伴う事故が発生した場合、”事故速報”として、早急に国へ連絡する必要があります。

 

5.運転者の疾病によるもの

トラック運送会社の健康起因事故が、年々、増加しています。

 

ニュースでも、トラック・バスが運転途中で気を失う、お亡くなりになる交通事故が報道されることがありますが、もしも、運転者の疾病(たとえば脳疾患・心臓疾患・意識喪失に起因すると思われるもの)により、事業用自動車の運転が継続不可能になった場合は、事故速報しなければいけません。

 

6.その他

あとは、自然災害に起因する可能性のある事故であったり、報道機関等による報道・取材を受けるなど、社会的な影響が大きいと認められる事故が起きた場合には、速報をしなければいけないことになっています。

速報をする場合の手順

国に速報をする場合は、次の通りの手順で行うことになります。

 

@まずは電話など分かる範囲で第一報の報告を行った上で、詳細を知らせるために、専用の様式を用いてFAXする。
A事故の報告は24時間以内に行う。
B影響のある事故が多いため、国も把握する必要があります。追加情報があれば、随時連絡する必要があります。
C事故速報に該当するかどうか迷うケースは、まずは電話で該当するか確認すること。

 

国は、事故速報に該当する場合(該当するか判断に迷う場合はC)は、@〜Bの手順で報告して欲しいことを運行管理者講習などで周知していますので、いざ事故が起きたら、この手順で対応しましょう。

事故速報の書き方

事故速報の書き方については、全日本トラック協会が発行している「運行・車両・労務管理の手引」(http://www.hyotokyo.or.jp/pdf/track_tebiki2019_web_p2-4.pdf)のP9に公開されています。

 

【記入例】

 

現在、支局などで配布されている様式は簡素化されていますが、記入例は役立つと思います。

 

ちなみに、この様式については、九州運輸局HP(https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/car/file07b.htm)にて公開されていますので、ダウンロードして使用しましょう。

 

事故速報の連絡先

所属する運輸支局の整備部門に問い合わせましょう。

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